逆子治療
普通、赤ちゃんはおなかの中で頭を下に向けています。
それが何らかの原因で、違う方向をむいてしまっている状態が逆子(骨盤位)です。
妊娠初期~中期にかけて、実は赤ちゃんはおなかの中で自由にクルクルと動き回っています。頭の向きもあっちを向いたり、こっちを向いたりで一定しません。
特に妊娠20週くらいは一番赤ちゃんが活発に動く時期で、この頃に逆子であってもまったく心配はありません。
妊娠後期になると、赤ちゃんの頭もどんどん大きくなり、重力により頭の重みで自然に下向きになっていくのが一般的です。
妊娠27週くらいまでは逆子が自然に治る可能性は十分にあります。
ただし、もし妊娠28週を過ぎても赤ちゃんの頭が下向きになっていない場合は、逆子と診断され、治療の対象となります。
なぜ逆子だと危険なのか
生まれる時、赤ちゃんは一番大きなアタマで産道を広げながら出てきます。
逆子の場合、この大きなアタマを後から出すことになります。そうすると骨盤に引っかかり、難産になる可能性が高くなります。
また、へその緒が先に出てきてしまうため、産道で圧迫を受けてしまいます。
へその緒が圧迫されると、赤ちゃんの脳に血液や酸素を届けられず、低酸素脳症や仮死状態に陥り、赤ちゃんに障害が残ったり、命に関わる危険性もあります。
このような事故リスク回避のため、逆子の状態で出産を迎えると、現在はほとんどが帝王切開となっています。
帝王切開はそれほど危険ではないといっても、やはり体にメスを入れる手術です。
産後の経過を考えても、自然分娩できるのであればそれに越したことはありません。
逆子治療の妊婦さんのほぼ全員が、お医者様から「○○週の検診で逆子のままだったら帝王切開です、予約しておいてください」と言われ、「帝王切開はなんとか避けたい!」という一念で来院されています。
逆子の原因
なぜ赤ちゃんは本来と違う向きになってしまうのでしょうか。
原因は以下のようなことが挙げられます。
- ・ママの体の冷え
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赤ちゃんは温かく心地よい方に頭を寄せています。
ママの下半身に冷えがあるとそちらに頭を向けたがりません。 - ・子宮の緊張が強い
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子宮壁がやわらかければ、寄りかかった時に頭の重みによってクルンと自然に下向きになれます。
緊張で強く締め付けられている子宮は、窮屈で動きにくく、赤ちゃんもひっくり返りづらいのです。 - ・ママの呼吸が浅い
- ママの息が浅いと胸や横隔膜の動きも小さいので、赤ちゃんは上を向いていても気になりません。そのまま逆子の状態が続きます。
他には子宮の奇形や前置胎盤、羊水量の過多・過少、多胎なども原因として考えられます。
治療について
当院の逆子治療は、胎動を活発にさせ、自然に赤ちゃんが頭の重みでくるりと下を向くことを目指した治療です。
子宮への血流量を増やし、子宮筋の緊張を和らげることで、赤ちゃんが動きやすい環境をつくります。
子宮と全身の状態を改善するため、逆子(妊娠)に深く関係する経絡(気血の流れ・ツボの並び)のバランスを鍼・灸で整えます。
また、昔から「逆子の灸」として知られる特効穴(ツボ)にお灸を据えていきます。
併せて、自律神経を整え、内臓の動きを安定させ、呼吸を楽にする治療、さらに手足、デコルテ、首、頭皮のマッサージも組み合わせて行います。
出産間近、しかも逆子という不安材料を抱えたママの身体は緊張しています。
力の入る首やアゴ周り、ぱつんぱつんに緊張した頭皮を緩めると、自然と深く大きな呼吸になり、胎動が良くわかります。
< 治療の流れ >
- ベッドに横になった状態で手首の脈を確認します。
- 軽く全身をマッサージ、下半身を温めながら、緊張をほぐし呼吸を安定させます。
- 胎動を確認しながらお灸をしていきます。
足の小指の爪ぎわにある「至陰」というツボを使用します。
「至陰」は陰と陽の境目にあたるツボで、ここにお灸をすることで陰陽のバランスが整い、上下が反転している赤ちゃんを正常な状態に戻す作用があります。
ごく小さくひねったモグサをツボに乗せるお灸です。 - 「三陰交」のツボにお灸をしていきます。
「腎」「肝」「脾」の3つの経絡が交わっていて、婦人科系の疾患の特効穴とされる有名なツボです。
子宮の循環を良くし、子宮筋の緊張を和らげる効果がありますので「安産のツボ」としてもよく使います。
じわーっと温かい台座灸を使用します。 - 必要に応じて、肘から先、膝から下のエリアのツボに鍼を打ちます。
自律神経を整え、内蔵の動きを安定させ、呼吸を楽にする作用があります。
通常の治療より細い鍼を使用します。 - 手足のマッサージ。
- デコルテ、首と頭皮のマッサージ。
およそこのような流れで治療を行います。1回の治療時間はおおよそ40分です。
逆子の治療でお腹に鍼やお灸をすることはありません。ご安心ください。
受療の目安・治療のペース
妊娠28週を過ぎて「逆子」の方が治療の対象です。
逆子治療はできるだけ早く治療を始めた方が有利です。
赤ちゃんが大きくなると、それだけ動くスペースが少なくなるので回りにくくなります。どうぞお早めにご相談ください。
特に33週以降の方、あるいは赤ちゃんが標準より大きめの方はお急ぎください。
ただし、経験上、35週を過ぎた赤ちゃん(3000g超え)が治った例もあります。そのような方もあきらめずにぜひ一度ご相談ください。
治療ペースは、1~2週間の間に5回ほど集中的に治療すると効果的です。
体調やご都合と合わせて受療スケジュールを組みますので、どうぞ遠慮なくご相談ください。
治療と併せて、ご自宅でできるお灸療法の指導もいたします。
安産治療としての効果も高いので、治療に来られない日はご自宅でお灸をしていただき、出産まで続けていただくとよいでしょう。
初診に際して
治療は40分ほどですが、初回はお話を伺う時間を含め1時間程度かかります。
母子手帳をお持ちください。
問診の際に、現在かかっている病院、出産予定の病院の連絡先などをご記入いただきます。
替え着もご用意していますが、腕・膝下が出るゆったりしたお洋服であればそのままでも施術可能です。
付き添いの方は、治療中は待合室でお待ちくださいますようお願いしております。
【コース・治療費はこちら】
※初めての方は、初診費1,000円を別途頂戴いたします。